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2016-08-30  特許権維持費用とリスク管理について 俞伯璋顧問弁護士
特許権維持費用とリスク管理について
萬国専利商標事務所 俞伯璋顧問弁護士
近年、世界中において特許重視との考え方に伴い、企業による特許出願数量も年々増加しています。しかしながら、それに伴い企業の特許権維持費用にかかる支出も増加しています。通常、企業が特許権維持費用の予算を特許出願費用と独立して取り扱うことは少ないです。故に、企業の獲得した特許の数が多くなる一方、その特許権維持の予算は特許出願の予算を次第に減らさせるような結果となってしまいます。その解決方法としては、予算の増加、特許出願案件数の削減、および権利の許諾、売買または放棄などが挙げられます。1つ目の予算の増加は可能性が低いです。企業は特許権による収入を増やさなければ、予算の増加はきりがありません。特許出願案件数の削減は、もっとも一般的なやり方です。ただし、特許出願案件数の削減によって企業の特許ポートフォリオは次第に弱くなるため、これは一時的な手段にすぎません。また、権利の許諾と売買は実行の可能性がありますが、通常、数件の特許権ではなく、ある技術分野における包括な特許権のポートフォリオが必要であるので、特許弁護士などの経験のある専門家に相談する必要があります。さらに、権利の放棄も実行の可能性があり、その実行コストも最も低いです。ただし、その欠点としては、企業の知財担当者は特許権の放棄を提案する可能性が低い傾向があります。その主因は、一旦放棄した権利は取り戻せないため、責任が重すぎます。しかし、権利の放棄はリスク管理の行為の一種です。企業は、内部で評価制度を構築した上、外部から顧問の意見を取り入れれば、権利放棄による企業へのリスクを最低限にすることができます。